SEVENSTAR BLDG

建築概要

主要用途:物販店舗、事務所、倉庫

延べ面積:86.05㎡

構造規模:RC造、地上5階建て

本計画地は国道246号線沿いの、南青山5丁目交差点に面する敷地面積7坪で三角形の計画地である。

人々の目に留まりやすい敷地の計画のため、施主はこの敷地に1階に物販スペースを設けた看板広告を最大限設置できる建築を希望した。

計画当初は鉄骨で矢倉を組んで看板のみを設置するという案もあったが、東京都屋外広告物看板の規制や、床面積も最大限確保したい。という施主の要望を鑑みると、建築物の上にデジタルサイネージを設置し、外壁の内側にもデジタルサイネージを設置する計画の方が広告物の面積を大きくできるため、建物を建築することとなった。

建物は極力高さを上げる必要があったが、7坪しかない三角形の敷地に既存建物の地中擁壁(敷地境界線沿いに残っているため、解体すると隣地建物や道路にも影響するため解体不可能)と、既存建物の以前に建っていた建物の杭が地中障害として残っていることが事前に分かっており、地中擁壁と杭を避けて新規の杭を打つ必要があった。

S造やRC造のラーメン構造で建物高さを確保する案も検討したが、本計画地では大型の杭が施工できないため、地中擁壁と杭の隙間を狙って施工できる鋼管杭3本で計画可能なRC耐震壁付ラーメン構造を採用し、建物高さを15m+屋上広告棟(高さ9m)で計画している。屋上の広告棟は避雷針設備も兼ねている。

7坪しかない計画地では、キュービクルやパットマウントを設置するスペースは設けられないため、電気の引き込みは低圧弾力供給で電灯と動力の割合を電力会社と協議の上決定した。

その電力量で計画できる最大のデジタルサイネージ面積を確保できるように、道路側外壁は全面ガラス貼りの計画で、ガラス部分は上下2辺支持の19mm+19mmの合わせガラスを採用し、室内にはワイド5m高さ5m程度の大型デジタルサイネージを上下に2か所、そして、屋上には約50㎡のデジタルサイネージを設置できる計画としている。

また7坪の計画地を最大限有効利用できるように、隣地側の外壁はアルミスパンドレルを型枠とする無足場工法を採用し、外壁面から隣地境界線までの有効距離を10cm程度で計画している。これは、道路側の外壁面をより大きくするためでもあり、また、隣地側外壁面がメンテナンスフリーとなるため採用した。

次に、デジタルサイネージを2~3階、4~5階と切れ目なく設置する際に問題になったのが建築基準法の竪穴区画である。

ショウウィンドウのようにデジタルサイネージを設置する部分だけを吹抜として区画し、階段部分も竪穴区画する平面計画は本敷地では現実的ではないため、3,4,5階は倉庫用途として3階以上に居室を設けず、竪穴区画は適用外の計画として、2層連続のデジタルサイネージを実現した。

そして、道路側のガラス面を大きくとるためには非防火設備のサッシとするため、門型の外壁を道路境界線まで伸ばし、防火壁としている。 道路面の外観は、主がデジタルサイネージとなるため、ガラスと鉄及びRCの素地の色でシンプルな計画とし、広告と建築の一体化を図った。