我々の仕事について

様々なお客様や友人と接していると、我々の仕事(設計監理)というものが、どのような仕事なのか伝わっていないように感じることが多々あります。

そのため建築家の仕事とはどういうものかを説明しようと思います。

 

「建築家の仕事は映画監督の仕事に似ている」という方がいます。自分が演技するわけでも、舞台を金槌で作るのでもなく、自分のお金を出すわけでもなく、各職方に指示を出し、全体をマネージメントする事からそのように言われているのだとは思いますが、実際映画監督の経験がある人なんて世の中にごく少数しかいないため、これでは我々の仕事をイメージしずらいのではないでしょうか?

 

そのため、私は自分の仕事を説明するときは、料理に例えるようにしています。

家を建てることを、ハンバーグを作ることとしてみます。

 

スーパーに行って、お惣菜コーナーに売っているハンバーグ、これが建売で買う住宅だと思ってください。出来合いのものを販売し、お店が設定した金額に納得がいけば購入する。基本的に内容を変更することは出来ません。

 

そして、飲食店で食べるハンバーグが、ハウスメーカーの住宅です。

大きさや焼き加減、ソースや添え物の野菜を変更することは出来ますが、ベースのハンバーグは変更できないものです。そのため、ある決められた中で選択し、お店が設定した金額に納得がいけばお店に足を運びます。

 

それに対して、我々の仕事は、ハンバーグの中に入れる材料及び調理法は自由です。

牛と豚の割合を変更できたり、ブランド牛を使ったり、ナツメグ入れたり、オーブンで焼くかフライパンで焼くか、人参をすり潰して子供に分からないようにしたりと、お客様のご要望を聞いて作る事が可能です。

そしてそこには、我々のこだわりも出てしまうため、タマネギは炒めずに入れたほうが良いか炒めてから入れたほうがよいか、牛と豚の割合は7382かなど、お客さんとの意見の食い違いが出てくるため、何度も打合せを重ねて、材料一つ、調理法一つを決めていきます。

そうして打合せを重ねた後に、設計図というレシピを完成させます。

その後に、実際に調理する人や、材料を納品してくれる人たちに値段を確認し、レシピ通りに調理してもらっているか、レシピで指定した材料を使っているかを定期的にチェックし、完成したものを料理人がお客様に提供するまでを監督するのが我々の仕事となります。

この後によく言われるのが、「建築家が調理したり材料を仕入れたりしないの?」という質問を受けます。

そうなんです。我々はレシピを描いてレシピ通りに作業しているかチェックするのが仕事であり、実際には調理もしないし、材料を仕入れたりしません。

(イレギュラーでやることもありますが。。。)

 

どのハンバーグにも一長一短あります。

スーパーで買ったものは何が入っているか分かりませんが、時間と労力が掛からないため、忙しい日にはとても助かります。結構味が気に入ることもありますし、家に買って帰ってから一手間加えてオリジナル性を出すことだってできます。

お店で食べるハンバーグも味が自分に合うかどうか分かりませんが、焼き方ソースは決まった中からではありますが選ぶこともできます。また、毎日多くの方に同じ料理を提供して営業を続けているという安心がありますし、お店の評判などの情報は比較的簡単にインターネットで手に入れることが出来ますので、お店が選びやすいです。

そして、プロと一緒に自分で1からレシピを作り、料理人が料理したからといって納得いく味に出来るという保証はありませんし、時間と手間が掛かります。しかし、全ての材料や工程を把握し、自分自身で決定することができることや、料理人がレシピ通りに作っているかプロがお客様の代理として細部までチェックしてくれるという安心がありますし、何よりそのハンバーグへの思いはこの方法が一番だと思います。 

そのため、皆さんが「ハンバーグを食べたい!」(家が欲しい!)と思ったら、まずはお惣菜(建売物件)と飲食店(ハウスメーカーや工務店)と料理人へ依頼(建築家)のメリットとデメリットをご自身で比較検討してみて下さい。

人それぞれメリットとデメリットは違いますが、まずは比較検討し、ご家族や友人と話し合って色々な意見を聴くことで、ご自身が納得のいく「ハンバーグ」(家)を手に入いれる方法が見つかると思います。

八田政佳